今回で6回目になる地元の中学校の教室は趣向を変えてタバコに関する実験を行った。タバコの煙によるビタミンCの変化である。全校生徒を理科室に集め、理科や養護の先生に実験に取り組んで頂く。
実験にはビタミンCの定量の定番試薬である 2,6-dichloroindophenol sodium salt (DCIP) を使用する。原理はこちらなどを参照されたい。
結果(試薬還元に要したレモン汁敵数)
グループ | 対照 | タバコ煙 |
先生 | 12 | 15 |
1 | 11 | 16 |
2 | 13 | 16 |
3 | 14 | 16 |
4 | 12 | 17 |
5 | 12 | 15 |
6 | 13 | 14 |
7 | 12 | 15 |
8 | 14 | 17 |
すべての実験グループでタバコ煙処理群にて滴定に要するレモン汁が多くなり、タバコ煙にてビタミンCが破壊されることを証明する結果となった。
実験の出典は少年写真新聞社「たばこは全身病」だがもう廃刊らしい。原法ではレモンの輪切りをタバコ煙でいぶしているが、時間がかかりそうでまた部屋中に煙が充満しそうなので上記のようにPETボトルに煙をためる方法をとった。この本や実験法につき船峅小学校の高島先生にご教授頂きました。この場を借りて深謝致します。
有意差検定
上記の実験結果、肉眼的にも差は歴然だが有意差検定を試みた。
まずレモン汁のビタミンC濃度を算出したかったのだが当日既知濃度のアスコルビン酸溶液を用いた試薬の力価検定を行わなかったのでビタミンC濃度は算出不能。上記の滴定データそのものを検定した。
で、やってみたら、なあんだ EXCELL がそのものずばり paired t-test をやってくれるじゃないですか。
対照 | タバコ煙 | |
平均 | 12.55556 | 15.66667 |
分散 | 1.027778 | 1 |
観測数 | 9 | 9 |
ピアソン相関 | 0.205499 |
仮説平均との差異 | 0 |
自由度 | 8 |
t | -7.35316 |
P(T<=t) 片側 | 3.98E-05 |
t 境界値 片側 | 1.859548 |
P(T<=t) 両側 | 7.97E-05 |
t 境界値 両側 | 2.306004 |
でやっぱり圧倒的に p < 0.01 ですね。
コメント
この実験は大成功でしたねぇ。よかったよかった。いつもと違う教室だったけど実験するのがみんな楽しそうでほっと一安心でしたね。ご苦労様。