旅人放浪記 第十四話旅路

| コメント(1)

 「じゃあな。」
「ばいばい。」
ガルムとファルコンは別れた。
 若葉が茂る山の中に薄い水色の防水パーカー姿のシグがいる。翼と尻尾の様子や表情から推して何かを警戒しているようだ。
 不意に何かに気づいて翼と脚力を使って地面から数メートル飛び上がった。隣の茂みから鉤爪のついた大きな野獣のような手が現れ今まで彼女が立っていた地面をえぐった。シグのはいている黒いズボンが少し裂けた。
「‘‘外に出られるのはほんの一握りの奴らだけ’’?一握りってどのくらいなのさ?!」
大きな手の持ち主は熊と狼を掛け合わせたような野獣だ。とてつもなく大きい。シグはそいつを大きく迂回しながら飛んで死角にまわろうとした。少し無理があったかもしれないが隙を突くことはできそうだ。シグは片手をさっと振り刃のような炎を投げた。それはざしゅっと野獣を切り裂いた。野獣はうなり声をあげた。さらに手から火炎放射のように炎を出してとどめをさした。野獣はあぶり殺された。
 シグはため息をついてズボンを眺めてから肩にかけていたおおきな肩掛けバッグからジーンズを取り出して裂けたズボンとはきかえた。それからシグは怪しい事はないか偵察した。
 広大な草原の中でもうっそうと茂る森に近い場所にコルビが座り込んで髪を切っている。彼女の黒髪は肩に少しかかるくらいの長さになっている。いつもの黒い長袖長ズボンにフードつきの黒いマント姿だ。きれいな夕日があたりを照らしていた。コルビはハサミと手鏡をしまい、エメラルドグリーンの目を細くしながら夕日を見て、
「太陽が紅い・・・血が流されたのね。」
と呟いた。超人族の血を引く者特有の野生動物よりも優れた第六感だ。コルビは急に誰かに見られているような気がした。立ち上がって周りを警戒し、脇の森をじっと睨んだ。そこには何かがいた。
<解説>
久しぶりの更新でした。第四隊のみなさん、仕事中ですね。第六感と五感についてですがコルビは超人族の血を引くため野生動物以上に優れていて夜でも目がきき、ガルムは狼並で夜でも目がきき、ファルコン、シグは普通かそれ以上です。

コメント(1)

あらん!レゴ様風のセリフですねっ!この人達は目覚めてはならない第六の感覚が目覚めちゃってるんですか・・・

コメントする