●電脳村ふれあい祭って何?
富山県山田村という高齢化の進んだ過疎村があります。スキーができて、温泉があり、じゃがいもが特産物の、自然が豊かで野菜のおいしいところです。
そして、今この村には地域振興や情報化事業の一環として、政府から7割の家庭にパソコンが貸与され、インターネットが使用できる状況にあります。
「電脳村ふれあい祭」は全国からその村に学生や社会人が集まり、山田村の情報化を助けながら、自分たちも情報化について勉強していこうというイベントです。 ひとことで言ってしまえば情報化と地域振興に関するイベントです。
●ふれあい祭の3本柱
ふれあい祭には3つ目的があります。
1つ目は山田村の情報化を助けるために、各家庭に訪問してパソコン指導をすること。パソコンお助け隊やパソコン講習会がこれにあたります。
2つ目は情報化社会の理解を深める ため勉強会を行うこと。インターネットと福祉や情報通信などの勉強会がこれに当たります。
3つ目は村の人たちとふれあい交流を深めることです。星空観望会、山田川で遊ぼうなどがこれに当たります。
●きっかけはメーリングリスト
あるメーリングリスト(同じ物事に関心を持った者同士で集まり、メールによって情報 交換をする事ができるサービス)でこの山田村のことが話題にあがりました。
この呼びかけに、関学、慶応、筑波大院、早稲田の5人の学生が応じました。
もちろん5人とも、今までに話したことも会ったこともありません。
「パソコンのインストラクターになりたい」
「使いやすいパソコンとはなにか」
「パソコンネットワークはこの過疎の村に一体どんな影響をあたえるのだろうか。」
それぞれが様々なテーマをこころに持ちながら、
その一通のメールをきっかけに山田村に行くことを決意しました。
それがこのお祭りのきっかけです
●山田村の様子
その村では操作の難しいパソコンを前に多くの人が苦労していました。まだ、 箱からパソコンを出していない家もありました。しかし、ホームページを使って 地酒の販売をしよう、テレビ会議を使って遠隔農場を始めようなどど、夢を描い てそれを実現させようと努力し、いきいきとしている村の人の姿がありました。
情報化には可能性があります。この山田村の過疎や地方の問題を解決する力を
秘めているかもしれません。だから山田村にはパソコンが貸与されたのです。しかし
山田村でのパ
ソコンを使っての村おこしが成功するとは限りません。パソコンやイ
ンターネットを使って一体何ができるのでしょうか、何をしたらいいのでしょう
か。
「情報化」と騒がれているが、それは生活に根ざしたものにしなければ成功し ないだろう。そう思った5人は情報化の可能性を模索するためにイベントをおこ すことにしました。それが「電脳村ふれあい祭」です。
ホームページやE-mailなどのネットワークでの出会いを通じて、全国から80 名もの学生が集まりました。学生の心意気に賛同し、村の人たちもイベントに加 わりました。こうして学生と村の人による「電脳村ふれあい祭」というお祭りが、 1997年7月26日から8月3日まで富山県山田村で行われることになるました。
これは関学生であった筆者、八十原が「電脳村ふれあい祭」でみたこと、思ったことのレポートです
写真提供:インターネットアスキー 98